「喪中におせちって食べて良い?」と迷ったりしませんか?
身近な人を亡くした後であれば「とてもそんな気になれない」という方が多いかもしれませんが、「親戚がお参りに集まる場合は何を食べたらいい?」「気持ちを切り替えるためにも、お正月らしさを少し取り入れて新年を迎えたい」という方もいらっしゃいます。
この記事では、喪中のおせちについて一般的なマナーや注意事項を紹介していきます。
その考え方は地域・家庭、大切にしている宗教によっても違いますが、喪中であっても、故人の冥福を祈り、新年が良きものであるように願える慎ましいお正月にするためにも、ぜひお読みください。
目次
喪中でもおせちを食べて良い?
そもそもおせち料理は「新年を祝い、良い年であるよう願いを込める縁起物」。
一方、喪中とは「身内が亡くなった後の一定期間、故人の死を悲しみ、外出や社交的な行動を避けて身を慎む期間」です。
お祝いであるおせちと、お祝いを避ける喪中、意味合いが相反するものなので、一般的には喪中のおせちは避けるべきだと考えられています。
身内の方が亡くなって1年以内のお正月がこの喪中に当たるため、お祝い事を控えます。
喪中の他に、忌中(きちゅう)という言葉もあります。
▶︎忌中→故人が冥土で旅をする期間のこと。一般的には四十九日法要を迎えるまで。
▶︎喪中→遺族や親族が故人を偲び、喪に服する期間。おおまかに一周忌法要が終わるまで。
とはいえ、前述のように「年始には故人のお参りで親戚が集まる」「気持ちを切り替えるためにも、新年の節目の食事をしたい」というケースもありますよね。
こういった際にいただく料理を、次に紹介していきます。
喪中におせちを食べるときの注意事項
上記の理由で喪中におせちを用意する際には、使う食材や食べる際のマナーなど、いくつかの注意事項を守るのがベター。
喪中用おせちとして、以下のような食材を使った「ふせち料理」「精進おせち」などという商品も販売されています。
喪中のおせちに避けたい食材・料理
おせち料理は食材や盛り付け方法に、縁起をかついでいます。
そういった中でも、喪中のおせちは「お祝い」や「めでたさ」を表す食材を避けた料理を用意しましょう。
具体的な食材は以下のようなもの。
鯛や伊勢エビ
「おめでたい」から連想される鯛、長いひげと曲がった腰から「長寿」を連想させる伊勢エビなど、縁起物の象徴である食材を使うのは避けましょう。
紅白の食材
紅白は「ハレ」を意味しており、お祝いの席に用いられる色味。
例えば、紅白なますは色味の違う食材に変えたり、紅白かまぼこは白色だけのかまぼこにしたりと、色味が「紅白」にならないように気をつけましょう。
昆布巻き
「よろこぶ」を表す昆布、「結び」をあらわす巻である「昆布巻き」。
おせちには欠かせない一品ですが、避けたい食材です。
金箔
豪華さ、豊かさ、華やかさの象徴である「金」も避けたい色。
おせちの黒豆に散らされてたりする「金箔」などは使わないようにしましょう。
飾り切りなどにも注意
食材そのものではなく、その飾り方や切り方にも注意が必要です。
例えば、つながりを連想させる結びこんにゃく、おめでたさの象徴である「松竹梅」をかたどった食材(例:梅花にんじん)、長寿をあらわす「菊」をかたどったもの(例:菊花大根)などです。
喪中のおせちにふさわしい食材・料理
次に、喪中のおせちにふさわしい食材を紹介します。
「お祝い」や「華やかさ」を表す食材ではなく、「新年の平安を願う」という意味が込められた食材であれば問題ありません。
黒豆
「黒」は悲しみをあらわす色でもあり、邪気を祓う(=厄除け)という意味もあるので、黒豆は問題ありません。
おせちの黒豆の意味は「まめによく働く」「一年間健康でいられますように、働けますように」という思いを表していることから、故人の家族の健康を願う意味で、喪中のおせちにもふさわしい食材と言えます。(※前述の通り、金箔を散らすのは避けましょう)
れんこん
複数の穴が「見通しがきく」「将来を明るく見通せる」ことに例えられ、「見通しの明るい一年を迎えられますように」という願いが込められているれんこん。
また、れんこんの花である蓮の花は「最も極楽浄土にふさわしい花」とも言われ、神聖な植物とされています。茎であるれんこんも清浄な食材とされ、もともと神様への供物でもありました。
喪中のおせちでも、酢れんこんや煮しめなどの料理でいただくことができる食材です。
たたきごぼう
豊作の象徴と言われる黒い瑞鳥(ずいちょう)に、ごぼうの形や色が似ていることから、豊作を祈願して食べられているごぼう。
さらに、地中深くまで細く長く根を張る野菜であることから「家や家業がその土地に根付いて安定する」という意味もあり、薬としても古くから重宝されてきたことから「新年の健康を祈る」という意味も。
たたきごぼうは「ごぼうをやわらかく煮て、たたいて身を開く」ことから「ひらきごぼう」とも呼ばれ、「開く=新年の運を開く」というように開運食材としても食べられています。
伊達巻
形状が書物のような巻き物に似ているため、「知恵が増える」願いが込められたと言われ、学問や習い事などの文化的な成就の意味がある伊達巻。
喪中のおせちは、紅白の食材や金箔を控えることから色味が少なくなりがちですが、鮮やかな黄色や映える形状である伊達巻があることで、見栄えも良くなるかもしれません。
田作り
田作りの材料でもあるイワシは、昔は畑の肥料としても使われていました。
そのイワシの肥料を使った田んぼは豊作になることが多かったそう。このことから五穀豊穣を願って田作りはおせちで食べられるようになりました。
「家族の土台を作る」という意味もあることから、喪中のおせちであっても食べられることが多い料理の一つです。
「お祝い」を意味する食材を避け、上記のような食材を使った料理を組み合わせて、喪中のおせちを作ってみてはいかがでしょうか。
喪中におせちを食べる際のマナー
おせちを食べる際も「祝う」という意味合いの習慣は避けましょう。
重箱を使わない
おせちの重箱には「めでたさを重ねる」という意味があります。
喪中は、故人が亡くなったことを悲しみ、行動を慎む期間。
「悲しみや不幸が重なる」という意味を避けるため、重箱は使用しないようにしましょう。
前述に「紅白の食材を避ける」と紹介しましたが、配膳の際も赤と白を交互に並べるのは避け、食器や敷き紙にも紅白が使われていないか確認しましょう。
お酒は控える
慎ましく過ごしたい喪中にお酒を飲みすぎたり、どんちゃん騒ぎをするのはNGです。
元日の朝に飲むとされている「お屠蘇」は祝酒でもありますが、「新年の邪気を払う」という意味もあるので「アルコールはお屠蘇を少々いただく程度にする」など、飲み過ぎには注意しましょう。
喪中のお正月、おせち以外の注意すべき習慣は?
上記で喪中におせちを食べる際の食材やマナーを紹介しました。
おせち以外にも気をつけたい習慣の例は、以下の通り。
・年始まわり、神社への初詣
・年賀状
「明けましておめでとうございます」という新年の挨拶も「昨年もお世話になりました。今年もよろしくお願い致します」などに替え、「おめでとう」というワードを使わない挨拶が無難です。
あとがき
本記事では「喪中のおせち」の考え方、食べる際の食材やマナーを紹介しました。
縁起物やお祝いをイメージする食材を避けつつも、慎ましく新年が良きものであるよう願いを込めて過ごすのが喪中のお正月の過ごし方と言えそうです。
とはいえ、何より大事なことは「故人を想うこと」。
それを大事にするのであれば「故人が好きだったものをいただきながら偲ぶ」というスタイルもあってもいいのかもしれません。
故人を偲びながら、家族が納得できるお正月を過ごしたいですね。
㈱オージーフーズ おせち事業部
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