お祝いの席を華やかにしてくれる祝い箸。おせちと一緒にならんでいると、より一層お正月気分が高まります。しかし、祝い箸の意味や正しい使い方、マナーを知らないという人もいるのではないでしょうか?
今回は、祝い箸の意味や意外に知られていない捨て方まで、祝い箸のあれこれをご紹介します。お正月やお祝い行事の時に役立つ知識なので、ぜひ読んでみてくださいね。
目次
祝い箸とは?
祝い箸とは、お正月や祝いの席で使われる箸で、箸の真ん中が太く、両端が細くなっているのが特徴です。長さは八寸。現在の長さで表記すると約24cmです。日本では昔から、末広がりの「八」は縁起が良い数字。そのため、祝い箸は八寸であるといわれています。
また、お正月の祝い箸は、松の内(元旦~1月7日)の間、同じ箸を使うのが習わしです。
祝い箸の意味とは?
祝い箸は柳の木で作られています。柳の木が使われるのには、いくつかの理由や意味があります。
ひとつめは、「邪気を払う」という意味です。昔から、柳の木は水で清められた神聖な木であり、邪気を払うものとされてきました。陰陽道では陽の気を持つとされ、鬼門を封じる霊力のある樹木とされているそうですよ。
ふたつめは、折れにくいという理由です。柳は水分を多く含むため、他の木に比べて折れにくいといわれています。確かに、お祝いの席で箸が折れるなんて縁起が悪いですよね。
三つめは「おめでたい」という意味です。柳は立春の後、春一番に芽吹くため、おめでたい木であるとされています。公園や街路樹などでよく利用されるシダレヤナギ(枝垂れ柳)は、3~4月に開花するとか。また、家内喜(やなぎ)の語呂合わせで縁起を担ぐという意味もあるそうです。
祝い箸が柳の木で作られることを初めて知った人もいるのでは?祝い箸の意味を知ると、より一層ありがたいお箸に思えてきますね。
祝い箸は京都と関東で違う?
あまり知られていませんが、祝い箸には「京都風」と「関東風」があります。
京都風の祝い箸は、「ヘギ」といわれる木を薄く削いだものが入っています。これは松の内の間使い続ける箸を、きれいに保つための工夫です。箸をしまう時、ヘギの下から箸を入れます。お正月には必ずヘギ付きの祝い箸を使うというご家庭もあるようですが、最近では取り扱う店が減ってきているそうです。一方、関東風の祝い箸には、ヘギはありません。箸をしまう時は上から入れます。
また、取り箸用の祝い箸に書く名前にも、京都風と関東風では違いがあります。関東は「海山」、京都は「組重」です。海山の意味は「神様にお供えしたものをみんなでいただく」という神事の名残であるといわれています。「海や山の幸を取り分けるお箸を納める箸だから」という意味もあるそうです。「組重」とは、いくつも重ねられるように作られた重箱のことを指します。京都風の「組重」はこの点に由来するといわれています。
おせち料理やお雑煮は地域によって差がありますが、祝い箸にも違いがあるのですね。
祝い箸の別の呼び方
祝い箸には、呼び方がいくつかあるのをご存知でしょうか?
- 両口箸・・・・・両方の箸が細くなっているから
- 柳箸・・・・・柳の木でできているから
- 俵箸・・・・・五穀豊穣を願って米俵を模し、真ん中が太めにできているから
また、はらみ箸や腹太箸(はらぶとばし)、太箸という呼び方は、子孫繁栄を表すとされています。聞いたことのある呼び名はありましたか?
お正月に祝い箸を使う時のルール
お正月に祝箸を使う時は、実は細かなルールがあります。今まで気にしたことがなかったという人は、ぜひ参考になさってください。
大みそかに家長が準備をする
まず、箸紙(祝い箸の袋)に名前を書きます。名前を記入する場所は箸紙の表、寿の下の空いたスペースです。
家族の箸にはそれぞれの名前を書き、家長の箸には主人、お客様用には上と書きます。名前を書くのは、お正月にやってくる歳神様に「一年間家族をお守りください」というお願いをするためです。
神棚に供える
名前を書き終わったら、箸を入れて神棚にお供えします。神棚がない場合は、鏡餅のそばにお供えしておけばいいそうですよ。
元旦の朝、使用する時に家長がお供えしていた箸を下ろします。
使い方のルール
箸の真ん中を持って使うのが正式な使い方とされています。少し食べにくく感じるかもしれませんね。そして、箸先1.5cmを使って箸をあまり汚さないように食事をするのが、正しい箸の使い方とされています。長くても3cmまでを使うのがよいそうです。
また、箸の片側は神様が使うため、どちらか一方だけを使うようにします。これは「神人共食(しんじんきょうしょく)」といい、神と人が共に飲食することで神のご加護をいただくというもの。お供え物した祝い膳を、神様に感謝し、人がいただくことでご利益を得るという古くからの習わしです。
使用期間
松の内(元旦~1月7日)、もしくは三が日(元旦~1月3日)の間、自分の祝い箸を使用します。使用後は、自分で洗ってから(清めてから)箸袋におさめます。地域によっては洗わないところもあるようです。松の内の間同じ箸を使い続けるので、衛生面的に気になる方もいらっしゃるかもしれませんね。そうした場合は、使用した方の箸先に熱湯をかけるとよいでしょう。その後、しっかりと乾かしてから箸袋に戻します。
お正月の祝い箸を使い終わったら
祝い箸を使い終わったら、氏神神社に持参し、小正月である1月15日にしめ飾りなどと一緒に燃やします。氏神神社とは、自分が住む土地を守る神様が祭られている神社のことです。氏神神社がわからない人は、地域の神社庁に問い合わせるか、昔からその地域に住んでいる町内会の人にきくとよいでしょう。
どうしても氏神神社に持っていけない時は、家庭ゴミとして出すこともできます。新聞紙か白い布の真ん中に祝い箸を置き、塩や酒をまいてお清めをしてから、他のごみとは別にして出しましょう。
祝い箸の袋を手作りしてみよう
祝い箸はすらりと長く、小さなお子様には使いにくい形をしています。しかも両端が細くなっているため、祝い箸をお子様に使わせるのは心配だという方も。
そんな時は、箸紙を手作りしてみてはいかがでしょうか?手作りの箸紙にお子様用の箸を入れれば、安心して使うことができますね。しかも、シンプルな箸袋なら誰でも簡単に作ることが可能。お子様と一緒に折り紙で手作りすると、きっと楽しいですよ!うっかり祝い箸を買い忘れてしまった時や、好きなデザインのものが売り切れてしまっていた時にも、おすすめです。
祝い箸の作り方は雑誌や動画でもたくさん紹介されています。来年のお正月は、オリジナルの箸袋で過ごしてみては?
今回は祝い箸についてご紹介しました。細かいルールがあることに驚いた方もいるかもしれませんね。普段何気なく使っている「箸」ですが、お祝いの席では、ただ食べるための道具ではありません。祝い箸には様々な願いがこめられています。お正月の準備に向けて、少しでも参考になればうれしいです。
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