おせち料理の一品、菊花カブをご存知ですか?菊花カブはおせち料理の与の重に添えられる酢の物であり、お重に華やかさをプラスする日本料理です。
酢の物や和え物が入るお重は通常4段目とされていますが、日本では忌み数字の”四”はハレの日に使用されません。
あえて与の重と漢字があてがわれるのも、日本らしさが感じられるところです。
見た目に華やかさをもたらす菊花カブですが、おせち料理の一品としてどのようなゲンを担いでいるのでしょうか。また、どのような調理法であのような美しい形に仕上がるのでしょうか。
こちらの記事では、菊花カブについて詳しくご紹介しています。
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おせち料理に菊花カブが入る意味とは
菊花カブはカブを飾り切りした料理であり、その読み方は「きっかかぶ」です。また大根を菊の花のように飾り切りしたものを菊花大根と呼び、見た目に華やかさを添える逸品です。酢の物であるため、メインとなる焼き物の付け合わせやお口直しに最適であり、お正月や祝い事で重宝されます。
古来より菊の花には、不老長寿の象徴や邪気をはらうといった意味が持たれてきました。これにより菊花カブは、いつまでも続く健康を願いゲンが担がれるようになりました。
菊花カブの色は白だけでも目を引く美しさですが、紅白で添えられるとよりめでたさが感じられます。赤色に染まった菊花カブにはラディッシュや赤カブが用いられますが、与の重に咲く花に思わず目を奪われます。
高貴な菊の花の歴史
菊の花ことばは「高貴」や「高尚」「高潔」とあり、気高さをイメージする花として気品を思わせます。菊花カブはいつまでも続く健康を願うと同時に、品にあふれる人間性を連想させる料理とも言えるでしょう。
日本の国花は桜と菊であり、菊は皇室家の象徴とされたり国会議員バッジにも菊紋が施されています。
菊の花が日本に伝わったのは平安時代ということで、宮中では菊を和歌に詠み、また観賞用としても貴族を楽しませていたようです。江戸時代には貴族だけでなく庶民の間でも親しまれるようになり、当時園芸ブームで沸いた江戸の町に彩を添えていました。
菊はもともと中国から伝わった花ですが、様々なかたちで品種改良されたことにより最初の頃の面影は消えていったと言います。
仏花としても定着する菊ですが、その意理由は様々な品種があるという点と長持ちするという点、そして邪気を払うといういわれにより用いられているようです。
花弁が多く美しいたたずまいが印象的な菊は、古くから日本人と深いつながりがある花なのですね。
菊花カブのつくり方
一見すると飾り切りが難しそうな印象を受ける菊花カブ。しかし調理方法は意外とシンプルであり、使用する材料も多くはありません。こちらでは目にも鮮やかな菊花カブのつくり方をご紹介しています。
【材料】
かぶ 6個
輪切りにした鷹の爪 少々
【調味料】
砂糖 大さじ2
塩 小さじ1/2
昆布だし 3/4カップ
酢 3/4カップ
- カブを良く洗い上下を落として皮むきをする
- カブの下側に包丁を入れ、厚みの3/4程度まで縦に細く切れ込みを入れる
- 格子状にするため横にも厚みの3/4程度まで細く切れ込みを入れる
- ボールに水250ml・塩大さじ1/2を混ぜ入れて下処理したカブを投入する
(30分程漬けしんなりしてきたら引き上げて水気を絞る)
- タッパーなどの容器に調味料とカブを入れる
- 味がしみ込むまで一晩漬け込み、食べる際には形を整え鷹の爪を添える
赤い菊花カブをつくる際は、カブ全体を調味料にしっかり漬け込みもみ込むと切れ目まできれいに染まります。
菊花カブの煮物
細工料理として目を引く菊花カブは、おせち料理をはじめとし酢漬けのイメージが大きいかもしれません。しかし菊花カブは煮物やお吸い物としてもおいしく調理ができ、秋から冬にかけてのお祝い事やおもてなし料理としても最適です。
菊花かぶの煮物をつくる場合は、飾り切りをした菊花カブを、だし汁やみりん、しょうゆなどと合わせ調理していきます。カブに火が通る時間はおよそ8分であり、火加減を調節しつつ静かに煮込んでいくことがポイントです。グツグツと沸騰させてしまうと煮崩れが起きやすくなるため、火の調節をこまめに行うと良いでしょう。
葉は2分程度で火が通ります。葉を茹ですぎると鮮やかな緑色が失われるため、彩を意識する場合はタイマーで時間を測ることをおススメします!
菊花大根とは
菊花大根とはカブの代わりに大根を用いた飾り切りのことです。菊花カブと同じように調理の際に大根を細かな格子状に切り、酢や出汁などの合わせ調味料に漬け置きます。味がしみ込むよう一晩寝かせたらよく水気を切り、切れ目を花のように広げて完成です。
見た目の豪華さから「自分でつくるのは難しそう」と印象を受ける菊花カブ・菊花大根ですが、”格子型”をポイントに切り込みを入れ一晩漬け置くだけで、おいしく美しい逸品が完成します。
まもなく12月。年の瀬も迫る時期となりおせち料理について考える機会も増えてくるころですね。今年はぜひご自身で菊花カブに挑戦してみてはいかがでしょうか!
日本料理とカブの深い関係
カブはおせち料理の他、普段の料理でも様々な用途で使われる親しみある食材です。非常に身近な根菜ですがその歴史は古く、一説には弥生時代にはすでに日本に伝わっていたと言われています。もともとの原産国は南ヨーロッパやアフガン地方のようですが、日本史をひも解けば古事記に「吉備のあおな」と記載がありこれはカブの事だと分かっています。また日本書紀には持統天皇がカブの栽培を推し進めたなど、今も昔も変わらず日本人のお腹を満たしてきた食材でした。
カブは大根と同じ仲間のようですが、実は白菜や小松菜の仲間と聞くと驚く方も多いのではないでしょうか。カブは球根部と葉の部分のすべてを食べられるだけでなく、そのどちらにも豊富な栄養を含んでいるため私たちの健康に一役買う食材です。
また茹でるなどの下処理を行うと非常に柔らかくなるところが特徴であり、創作料理の一品としても重宝されています。
菊花カブのような飾り切りの他、風呂吹きや千枚漬け、茎の浅漬けなど素材の味を活かしていただけるカブ料理は、日本の食文化に大きく貢献してきた食材と言えるでしょう。
まとめ
こちらの記事では菊花カブについて触れ、おせち調理に入る所以や調理方法、カブの歴史などをご紹介してきました。日本には食材を美しく飾り切り、見る人の心を満たす素晴らしい食の技術があります。日本料理にたびたび登場するこの芸術的な飾り切りは、日本人だけでなく海外からの観光客も釘付けにするものですね。
天皇家の紋章でもある菊の花は高貴さや高潔のイメージがあり、その花を模した菊花カブは正にハレの日にぴったりのお料理だと言えます。
㈱オージーフーズ おせち事業部
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