しいたけをおせち料理らしく華やかにするには、健康長寿の意味を持つ「亀甲椎茸(きっこうしいたけ)」がおすすめです。今回は「しいたけ」にスポットをあてて、おせち料理のしいたけの意味や、亀甲椎茸の作り方について解説します。
亀甲椎茸って何?と思われた方、おそらくあなたも一度は目にしたことがありますよ。
目次
おせちの「しいたけ」その意味は?
おせち料理では、筑前煮や煮しめでおなじみの「しいたけ」。こりこりとした歯ごたえで美味しい出汁のでる食材として、普段から親しまれていますね。おせち料理のしいたけには、意味や由来に3つの説があります。
高級品のため神様にお供えした
昔はしいたけの栽培方法が確立されておらず、希少価値の高い食べ物でした。なんと、しいたけは松茸よりも価値が高かったそうです!そのため、お正月に神様へお供えする貴重な食べ物として、大切に扱われていました。
お祝い事の定番料理「ちらし寿司」にしいたけが入っているのも、この名残りだといわれています。
しいたけの笠を陣笠にみたてた
しいたけの笠が、昔の戦場で下級の兵が兜の代わりにかぶった陣笠(じんがさ)に似ていることから「元気・壮健」いう意味があります。陣笠がピンとこない方は、戦国時代を舞台にした映画やドラマの合戦シーンを見てください。陣笠をかぶった兵士がすぐに見つかりますよ。
亀の甲羅の形にして健康長寿を願う
しいたけを亀の甲羅の形に切った「亀甲椎茸(きっこうしいたけ)」には、健康長寿を願う意味がこめられています。亀は新陳代謝がゆっくりで、老化のスピードが遅いのだとか。2022年現在、ギネス記録には、190歳の亀が最高齢として記録されています。本当に長生きですね!
亀甲椎茸(きっこうしいたけ)の作り方
食べやすい大きさに切って、筑前煮や煮しめにしても美味しいけれど、しいたけの見た目を華やかにするには「亀甲椎茸(きっこうしいたけ)」がおすすめです。
亀甲椎茸は亀の甲羅に見立てた飾り切りで、きれいな六角形をしています。初めての方でも簡単にできるので、試してみましょう。2つの方法を紹介します。
1 しいたけの軸を切り落とす
2 左右を平行に5㎜程切り落とす
3 上下を八の字になるように切る
1 しいたけの軸を切り落とす
2 上下を平行に切り落とす
3 2で切り落とした角が120度になるように切る
4 残っている部分を平行に切り落とす
手軽なのは1つ目の方法です。2つ目の方法は正6角形に整えたい時におすすめ。竹串などを平行になるようにおくと、うまく切ることができます。
切り落とした部分は、煮物やお雑煮に入れて美味しくいただきましょう!
しいたけの含め煮の作り方
亀甲椎茸(きっこうしいたけ)ができたら、しいたけを主役にしたおせち料理にチャレンジしてみませんか?亀甲椎茸は、「しいたけの含め煮」にするのがおすすめです。
しいたけの含め煮の作り方
(材料)
- 生しいたけ8~10枚
- 醤油・酒・砂糖・みりん 大さじ1
- 水 100㏄
*注:しいたけの大きさや味の好みで、調味料を調節してください。
1 しいたけの軸をとる
2 しいたけを鍋に重ならないようにして並べる
(ひだのある方を下にして並べる)
3 調味料を入れ、火にかける
4 沸騰したら弱火にし、落し蓋をして10分煮る
5 落し蓋をとり、しいたけをひっくり返す
6 中火にして、水分を飛ばす
7 鍋の底が見えるくらい水分が飛んだら、火を止める
8 しいたけをひっくり返し、そのまま冷ます
これで艶のある美味しい「しいたけの含め煮」が完成です!煮物は、冷めるときに味が染みていきます。完成したら、容器に移し替えて冷ますのもいいですよ。
乾燥しいたけを使うか・生のしいたけを使うか
さて、ここで疑問がわいてきます。おせち料理には「乾燥しいたけ」を使う方が良いのか、それとも「生のしいたけ」を使うのが良いのか。
答えは「どちらでもかまわない」です。どちらを使っても、縁起が悪い・おせち料理にふさわしくないといったことはありません。
しいたけは干すとうまみが増します。それだけではなく、食物繊維、カリウム、ビタミンDや葉酸といった栄養素もアップ!栄養重視なら乾燥しいたけがおすすめです。冷たい水に浸け、6~12時間冷蔵庫でじっくりと戻していきましょう。
なお、乾燥しいたけの戻し汁は、捨てずに料理に活用してくださいね。炊き込みご飯や茶碗蒸し、スープなどに使うと、乾燥しいたけの栄養を余すことなくいただけます。
水で戻すのが手間に感じる方や、上質なしいたけが手に入った時は、生しいたけを使いましょう。
ちなみに、スーパーの表記でよくみかける「菌床しいたけ」と「原木しいたけ」。何が違うの?と疑問に思ったことはありませんか?これは、栽培方法の違いによるものです。菌床しいたけは人工栽培で、原木しいたけは自然栽培です。
菌床しいたけは人工的に栄養を与え、3~6か月のサイクルで収穫できます。一方、原木しいたけは収穫までに2年かかりますが、森の中のほだ場(しいたけの栽培畑のこと)で完全無農薬で育ちます。
一般的に、原木しいたけの方が色が良く肉厚で、風味や香りも優れているといわれています。
しかし、菌床しいたけと原木しいたけ、どちらを使っても美味しい含め煮ができますので安心してくださいね。
しいたけ豆知識
最後に、知っていると役に立つ「しいたけの豆知識」をご紹介します。
「美味しい」しいたけの見分け方
せっかくなら、美味しい「しいたけ」が食べたい。あなたもそう思いませんか?良質なしいたけは、下記のような特徴があります。
<生のしいたけ>
・表面につやがあり、明るい茶色をしている
<乾燥しいたけ>
・しいたけの笠にしわが寄っていない(形が崩れていない)
・ひだの色は淡い黄色(きつね色)をしている
ぜひ、しいたけを選ぶときの参考にしてくださいね。
余談ですが、昔からよく言われている「雷が落ちるとしいたけが豊作になる」という説は、どうやら本当のようです。音による振動で、しいたけの発生量が増えるのだとか。実際、ほだ木(しいたけの菌が植えてある丸太のこと)をハンマーで叩くと、しいたけの収穫量が増えるという報告がされています。おもしろいですね。
参照:日本農業新聞 ほだ木を10打 シイタケ2倍 大分農研センター、増収の条件解明https://www.agrinews.co.jp/news/index/55509
しいたけは洗って使う?
しいたけは洗わずにそのまま料理に使うことができます。基本的に、国産しいたけは無農薬で栽培されています。木から生えているため土がつくこともありません。
小さな木の屑がついているときは、ふきんやキッチンペーパーで拭き取ればOKです。洗わない方が、風味や食感も損なわれません。
まとめ
おせち料理のしいたけには、「元気・壮健」という意味があります。また、しいたけを亀の甲羅にみたてた「亀甲椎茸」には、健康長寿の願いがこめられています。
亀甲椎茸は、初めてでも簡単に作ることができる飾り切りです。来年のお正月は、ぜひ亀甲椎茸でしいたけの含め煮を作ってみましょう。きっと楽しいですよ!
㈱オージーフーズ おせち事業部
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