今回は、弊社「金のおせち」に本年初登場の小肌の酢〆に込められた意味や由来についてお話しします。
小肌って聞くとお寿司のイメージですよね。青魚の背の色が酢飯に乗ってキラキラ光っている、そんな感じでしょうか。
江戸前寿司では、その細かい手仕事から職人の腕がわかるとされる寿司ネタだそうです。
そんな小肌を深堀してみたいと思います!
目次
おせちに小肌が入る意味は??
地方で呼び方も違いますが、関東では、4~5㎝の幼魚を”シンコ”、7~10cmくらいの若魚を”コハダ(小肌)”、それ以上の成魚を”コノシロ”と呼んでいます。
まさに、成長していく度に名前を変えている「出世魚(しゅっせうお)」です。
出世魚は、”立身出世を願う”という意味が込められています。新年に食べると縁起が良いとして、おせち料理などのおめでたい席で重宝されています。
全国を通して、祝い魚として扱われることが多い魚です。
小肌を食べて出世を願う
では、なぜ「出世魚(しゅっせうお)」と言うのでしょうか?
江戸時代の頃まで、武士や貴族の世界では、男子が成人になったことを祝う元服や、位が変わる出世の時などに名前が変わる習慣がありました。
出世するたびに名前を変える魚を、その風習に例えて「出世魚」と呼び、縁起の良いものとする風習ができたようです。
その後、出世魚はおせちではもちろん、”すくすくと成長し出世してほしい”という願いを込めて端午の節句などにも食べられるようになりました。
出世魚の代表格「ぶり」は、西日本では年取り魚として年末から食べられています。お雑煮の出汁に使用している地方もありますね。
年末の寒い時期に”脂がのって美味しくなる”という理由もありますが、出世魚で縁起を担ぐ意味もあり、なくてはならない素材になっています。
小肌も出世魚。年始のおめでたい日におせちで小肌の酢〆を食べるとお父さんの出世が叶うかも!!そんな願いを込めて味わうのも楽しいですね。(*^-^*)
小肌の漁獲される時期と産地
では小肌の旬はいつでしょうか。
小肌の幼魚シンコというと、初値は築地で高値を付けるので有名です。
体調4~5㎝ほどのシンコと呼ばれる時期はごくわずかで旬も短く、走りはとても高値で取引されるので特別な職人にしか扱うことができない幻の魚。
6月中旬から7月のわずかな時期に限られ高く評価されます。ちなみに今年築地の初値は1kgで8万円だったとか。びっくりですよね!
その後10cmくらいまで成長したものは小肌として取引されます。シンコ、小肌、コノシロと成長するに従って1年中漁獲されますが、脂がのってくる秋の9~11月が一番おいしい時期とされています。
国内の、太平洋側だと松島以南、日本海側だと新潟以南に生息していますが、主な産地としては伊勢湾や九州地方が有名です。
目利きのポイント
シンコは貴重ですが、小肌とコノシロの産地ではスーパーの鮮魚売り場で販売されることもあるようです。
その場合、選ぶポイントは3つ
- うろこがなるべく残っていて斑点が鮮やかなもの
- 魚体が小さく身が固いもの
- 目が赤くなっていないもの
を選んでみてください。
幼魚のシンコが高く評価されるのは、大きすぎると皮が硬くなり、小骨も多くなるためだそうです。
焼き魚の場合は大きなコノシロも良いですが、お刺身に近い酢〆となるとさばく手間は大変ですが、小さめのものを選んだ方がよいですね。
小肌の酢〆の作り方
では、新鮮な小肌が手に入ったらぜひ酢〆を作ってみましょう。江戸前寿司の真骨頂、手間のかけどころですので慎重にかつ丁寧に取り掛かりましょう。
材料
- 小肌 1パック
- お酢(米酢でも穀物酢でもお好みのものを)適宜
- 塩 適宜
作り方
- 小肌は氷を入れた真水に浸します。水洗いし、包丁の背でうろこを引きます。
- 頭と腹を切り落とし、はらわたを出します。血合いもきれいに取り水洗いし尾も落とします。
- 中骨に沿って切り開き、中骨をすき取ります。左右の腹骨もそぎ落とし捌きは完了です。
- 捌いた小肌をザルに載せ、まんべんなく塩をします。この塩は味付けでなく、余分な水分を抜くためです。魚体にもよりますが冷蔵庫30分程おいておきます。
- 薄い酢水で塩を洗い、水分をふき取る。
- 酢を張った容器に小肌を並べて冷蔵庫で30分漬け込む。
- 漬け込み終わった小肌は酢から上げて余分な酢をふき取っておきましょう。酢に漬けたままにすると魚のにおいが戻ってしまうことがありますので気を付けて下さい。
さばくのが難しい場合は、魚屋さんに頼んでみてもいいですね。お好みの酢加減、塩加減で調整して好みの味をお楽しみください!
小肌の名前の由来
「小肌」って変わった名前ですよね。ふと疑問に思い、その由来について調べてみました。
江戸前寿司では代表な光り物で、体表が柔らかく光沢があって美しいことから、子供のような肌に例えて「子肌」とされるのが語源。そこから「小肌」と当てられたそうです。
”シンコは「新子」で新しい子”と言う意味なので幼魚そのままの意味ですね。
コノシロは由来が二つあるとされています。
一つは、「ご飯」の事を「コ」や「コオ」と言っていた時代に、コノシロがたくさん獲れたことから、「飯の代わりにする魚」という意味で「飯代(こおのしろ、このしろ)」と言われるとになったという説です。
もう一つは、「子の代」と書き、訳あって子供を死んだことにする際、焼くと匂いが強いコノシロを身代わりに棺桶に入れ火葬したという言い伝えに由来しているそうです。
ちなみに、コノシロを焼いて食べることは「この城を焼く」になり江戸時代武士には好まれなかったそうです。江戸前寿司で小肌の酢〆が定着したのにもそんな理由があったのですね。
「金のおせち」にも小肌が仲間入り!
小肌の酢〆が金のおせち17品の中の一品にラインナップしました。(2017年度)
光り輝く背の色がお重に映え、さっぱりとした中にも素材の旨みが際立った味わいです。シンプルながらも、素材の目利きから塩一振りにもこだわった職人の手仕事が光る逸品です。
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