おせちの棒鱈の意味をご存知ですか?
棒鱈がおせちに入っているのは関西地方や山形が多いので、「おせちに棒鱈が入っているなんて知らなかった!」「その意味なんて、なおさら分からない!」「棒鱈自体食べたことがない!」」という方も多いのではないでしょうか。
棒鱈は、長い歴史のなかで見出された自然の保存食として広まり、今では全国的に味わえるようになりました。
この記事では、棒鱈がおせちに入っている意味、棒鱈料理の代表「棒鱈煮」のレシピなどを、詳しく解説します。次のお正月に棒鱈を入れてみてはいかがでしょうか?
目次
おせちの棒鱈の意味
棒鱈は、マダラを干物にした保存食で、江戸時代から作られています。数ヶ月間、天日干しして乾燥させるため「棒鱈で釘が打てる」と言われるほど硬いのが特徴です。
そのため、食べる際は約3~5日水に浸して戻してから料理に使います。タラのうま味が濃縮されており、骨や皮までやわらかくなるくらいじっくり煮込んで食べると絶品です。
おせちに棒鱈が入れられるようになった意味は、「たら(鱈)ふく食べられる=一年間食べ物に困ることがありませんように」という願いを込めたことにあります。
もともとは北海道の海で獲れたタラを加工した保存食が、関西に広まったのが始まりで、現在は関西地方や山形地方のおせちに入れられることが多いです。
脂肪が少なく、高たんぱくでビタミンも豊富に含まれいる棒鱈は、鮮魚が手に入らなかった内陸部の貴重な食料源として根付いていきました。
棒鱈の作り方
棒鱈は、漁期の旬でもある12月~3月頃にかけて作られます。
タラは鮮度落ちが早いため、水揚げされたらすぐに加工が始まります。タラを3枚におろした後、頭と背を取り除きます。室内干しをしてある程度の水分を抜いたら、数カ月の天日干しをします。
この時、塩を振らないのが棒鱈の特徴です。 塩を使った干物は「すきみたら」と言われ、棒鱈とは別物です。
棒鱈がよく作られる北海道・稚内や礼文島は、冷たい乾いた風が吹く日が多く、日中でも氷点下になる場所です。そのため天日干しでもカチカチに凍ります。こうして完全に乾燥させ、さらに2カ月ほど寝かせたら完成です。じっくりと天日干しをすることで旨みが凝縮されるのです。
棒鱈は、需要が多い関西地方、九州北部に多く運ばれますが、今では全国どこでも手に入ります。
棒鱈の乾物の戻し方
棒鱈を作るにも時間がかかりますが、これを食べる時にもひと手間かかります。
3日から1週間程度水に浸して、以下のような流れで身を戻してから調理をするのが一般的です。
①大き目のボウルやビニール袋に水を入れて、棒鱈を浸します。
②毎日水を取り替え、(アク抜きの意味もあり)、冷暗所か冷蔵庫で保存します。
③これを3日〜1週間続けて、身を戻します。
※水で戻す際は、棒鱈の身が白くならない程度を目安にしましょう。
時間をじっくりかけて身を戻すことで、ホロホロっと柔らかい食感が味わえるようになるのです。
棒鱈は、
▷カットしてあるもの
▷既に水で戻して調理してあるもの
で売られているので、用途に合わせて購入するようにしましょう。
また、棒鱈をそのまま食べるおつまみとしての商品もあり、これは叩いて砕いた(もしくはむしってある)状態で販売されています。
棒鱈煮のレシピ
材料(4人分) 調理時間3時間30分(水に戻す時間をのぞく)
干し棒鱈 …150g
酒 …大さじ3
砂糖 …大さじ3
醤油 …大さじ3
みりん …大さじ1
作り方
- 干し棒鱈はたっぷりの水、または米のとぎ汁に一晩浸して戻す。よく水洗いし、お好みの大きさにカットする。
- 鍋に棒鱈が被るぐらいまでたっぷりの水にいれ、落し蓋をして火をかける。
- 沸騰したら、弱火にしてアクを取りながら、柔らかくなるまで3時間程煮る。
- 3の後、棒鱈が被るぐらいまで水を調節し、酒、砂糖、みりん、しょうゆを入れ、落し蓋をして約30分煮る。煮汁につけたまま冷ます。
ポイント
冷めたときに味がしみこみます。
棒鱈を使った郷土料理
棒鱈を使った郷土料理も以下で紹介します。
棒鱈煮
福島や山形、新潟などで作られる「棒鱈煮(ぼうだらに)」は、醤油や砂糖などで甘く味付けした郷土料理です。
新鮮な魚介を手に入れることが難しい内陸の雪深い地域ならではの「タンパク源」として、昔から親しまれました。
上記のレシピの通り、硬い棒鱈は戻すのにも時間がかかり、煮込むのにも数日かかるため、特別な日に食べる料理として今も食べ継がれています。
芋棒
主に京都で作られる「芋棒(いもぼう)」は、京料理としても有名で「えびいもと棒だらの炊いたん」とも呼ばれます。
棒鱈をぶつ切りにしてだし汁(もしくは米のとぎ汁)で柔らかく戻します。食べやすい大きさにカットした海老芋(里芋の一種)と一緒に煮込み、海老芋が柔らかくなったら具材を取り出して煮汁をさらに煮詰め、海老芋と棒鱈にかけ、最後に香りづけに柚子の千切りをを散らして食べます。
京都では、芋棒をお正月に用意する家庭も多いです。
【プチ雑学】棒鱈は落語の演目の一つ?!
棒鱈は食材の名称ですが、「酔っぱらい」や「まぬけ」を意味する俗語としても使われており、古典落語の演目の一つにもなっています。
「棒鱈」のあらすじは、江戸っ子と田舎侍が大喧嘩をし、仲裁に入った料理人が「鱈もどき」という料理の仕上げのために胡椒を手にしていたため、喧嘩に割って入ったはずみに胡椒をまき散らして喧嘩どころではなくなったというものです。
【まとめ】作るのも食べるのもひと手間かかる棒鱈は絶品!
関西のおせちでお馴染みの棒鱈。長い歴史のなかで見出された自然の保存食として広まり、今では全国的に味わえるようになりました。
作るのにも2ヶ月以上かかり、食べるのにも水で戻すひと手間がかかりますが、その味は旨味が凝縮されて絶品です!
年に一度のお正月には、おせち用に「たらふく食べられる=一年間食べ物に困ることがありませんように」という願いを込めて、ゆっくり手をかけて作ってみるのもいいですね♪
ぜひご覧ください♪
㈱オージーフーズ おせち事業部
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