おせち料理の煮しめには、山のものや海のもの、旬の食材を一緒に鍋で煮ることから、皆で仲良く末永く繁栄するようにという意味が込められています。
おせちの煮しめの具材それぞれにも、たくさん縁起の良い意味が込められているんですよ!ぜひ、この機会に学んでみてくださいね♩
目次
おせちで煮しめを食べる意味
おせちと言えば、色とりどりの具材が入った煮しめがあると嬉しいですよね。煮しめは重箱の三段目(参の重)に入っています。ほっこりとした安心するような野菜の味が、箸休めにちょうどいいですね。
煮しめの名前は「煮汁がなくなるまでじっくりと煮る」という調理法の「煮しめる」に由来します。
ではなぜ、煮しめをおせちで食べられるようになったのでしょうか?その意味は?
おせちで煮しめの意味はとても分かりやすいものです。煮しめは、山のものや海のもの、旬の時期に獲れた食材を一緒に一つの鍋にすることから、おせち料理を通して皆で仲良く、末永く繁栄するようにという意味があるそうです。
おせちの品目それぞれにお祝に欠かせない意味があるように、煮しめにもそんな意味がありました。
煮しめの具材に込められた意味
煮しめの中に入れる具材にも実は1つ1つの具材にもおめでたい意味があります。一つ一つ見ていきましょう!
れんこん、ふき
れんこんは丸い穴が開いていることから、先を見通せるように。
ちなみに、れんこんを使ったおせち料理は「酢れんこん」もありますね!
https://www.osechiya.aussie-fan.co.jp/osechi/osechi-imi/665/
ふきは漢字で「富貴」と書けることから、豊かな生活を願う意味がこめられています。
里芋
里芋は土の中で小芋をたくさんつける事から、子宝・子孫繁栄。
https://www.osechiya.aussie-fan.co.jp/osechi-imi/3161/
また、里芋の一種である「八ツ頭」は「八」が名前についており、末広がりで縁起が良いとされています。
ごぼう
ごぼうの形や色が豊作のときに飛んでくると伝えられている黒い瑞鳥(たんちょう)を連想させる事から「豊作」を願って食べられた。 瑞鳥=めでたいことの起こる前兆とされる鳥。
また、ごぼうは地下深くまで根を張る野菜です。家業の安定や土地に根を張って繁栄するようにといった意味がこめられています。
ごぼうといえば「たたきごぼう」としてもおせち料理に欠かせない食材となっていますね!
https://www.osechiya.aussie-fan.co.jp/osechi/osechi-imi/768/
椎茸
昔は椎茸は収穫量の少ない野菜で、高級品だったのだとか。亀の甲羅に見立てた飾り切りである「亀甲椎茸」は、お祝いの席にぴったり。亀は「長寿」の象徴です!
人参
梅型にくり抜いておめでたい「梅」を表す。人参の飾り切り「ねじり梅」には、豊かな生活を願う意味があります。
こんにゃく
手綱こんにゃくにすることで手綱を締めるように心を引き締める、戦いに備えるという意味。そのほか、手綱の結び目から縁を結ぶという意味。
くわい
茎の先に芽が出ているのが見える事から「芽が出る」=めでたいという意味がこめられています。また、その芽が大きいことから、出世を期待する出世祈願としても縁起が担がれます。
筑前煮?がめ煮?煮しめ?うま煮?煮しめ?の違い
”地方や家庭によって入れるものも異なる”というのも煮しめの魅力ですね。では各地ではどんな違いがあるのでしょうか?
まず呼び方も筑前煮、がめ煮、煮しめ、うま煮、炊き合わせ・・・などいろいろありますね。
「筑前煮」は名前の通り九州発祥の煮物ですが、”鶏”が入っているのが特徴です。はじめに鶏肉や具材を油でいためてからに煮つけるのが筑前煮とされています。
筑前煮と呼んでいるのは地元以外の方で、地元では「がめ煮」と呼んでいるそうです。方言で「がめ繰り込む(いろいろな材料を混ぜる)」と言うのが名前の由来と言われているそうです。
鶏肉を炒ってから煮つけるので「いり鶏」と呼ぶこともあるとか。なかなか奥が深いですね。
また鶏肉を入れる「筑前煮」と違って、「煮しめ」と言うのは、椎茸や昆布の出汁で根菜などを煮たものを言います。
そして字の通り煮汁が無くなるまでじっくり煮る調理法で作ったものを「煮しめ」といいます。
「炊き合わせ」は具材ひとつひとつをそれぞれ炊いた後に合わせる事から、「うま煮」は名前そのまま具材の旨みが煮込むことで合わさることからそう呼ばれるそうです。
https://www.osechiya.aussie-fan.co.jp/trivia/2678/
地域による特色ある煮しめ
徳島県「おでんぶ(れんぶ)」
徳島県の中でも地域によってその呼び方が異なります。おでんぶ、れんぶ、でんぶ、などと言われる郷土料理です。お正月のおせちだけでなく、新築祝いの棟上げ式などで食べられてきたお祝いの料理です。昆布と煮干しのダシをつかい、金時豆、黒豆などの豆類と人参、大根、ごぼうなどの根菜類を煮て、梅干しも一緒に煮るのが特色です。これは日持ちさせるためといわれています。
鹿児島県「きいこん(切りこん)」
鹿児島県で食べられる地鶏の煮つけで、特に霧島地域で「きいこん」と呼ばれています。野菜と地鶏の骨付き肉と、野菜を煮た料理で、素材を切り込んでつくることから「切いこん」とついたと言われています。お正月やお祝い事、来客時にお客様をもてなす料理として作られてきた郷土料理です。地鶏、大根、人参、ごぼう、里芋のほか、椎茸や厚揚げ、こんにゃくなども入っています。
煮しめが祝いのおせち料理になった由来
全国的にもいろいろな名前で呼ばれる煮しめですが、とても素朴な料理と思われますが、昔はたくさんの”具材を集めて煮る”という料理はとても贅沢な一品だったという由来があります。
味付けに使われる砂糖や醤油もとても貴重なものだったことから、お祝いの席には欠かせない料理となり、おせち料理にも取り入れられるようになりました。
他のおせち料理と同じように、お重に詰めることを考えて、”具材の形を崩さないように丁寧に煮る”ことも重要になります。
おせちの煮物を作っていただいている製造メーカーの方に話を伺ったところ、それぞれの具材にあった時間別の鍋で炊き上げているそうです。味の染み方も”煮ては冷まし、煮ては冷ましを繰り返し丁寧に鍋の煮汁が少し残るよう煮詰める”ことで食材にしっかりと味がしみ込み、三が日美味しく食べられる煮しめになります。
ご家庭でも簡単に美味しい煮しめの作り方
それでは、ここで美味しく簡単に作れる「煮しめの作り方」をご紹介します!
野菜は飾り切りにすると見た目も華やかになり、お正月にぴったり。飾り切りが難しいなら、クッキーの型抜きを使うと便利です。型抜きなら失敗もなく、安全に飾り切りができますよ。
材料
- ごぼう
- れんこん
- さといも
- 人参
- 干し椎茸
- こんにゃく
調味料
- しいたけの戻し汁
- 酒
- みりん
- しょうゆ
- 砂糖
(それぞれ適量)
下ごしらえ
- 干し椎茸は水に浸して、戻して4つ切りに。戻し汁は取っておいてください。
- ごぼうは皮を剥いて乱切りに、れんこんは輪切りにしてそれぞれ酢水にさらします。
- さといもは皮を剥きます。下茹でしてぬめりを水洗いします。
- 人参は花型で梅の形にくり抜いておきます。
- こんにゃくは薄く切りにして中に切り目を入れて手綱形にし下茹でしておきます。
手順
①具材を鍋に入れ干し椎茸の煮汁を加えてひたひたになるまで水を加えます。
②調味料を加えて、弱火でじっくり煮含めます。途中で灰汁が出てきたら丁寧に取りましょう。
③30分程煮て、具材が柔らかくなったら鍋をゆすって味をなじませます。
④一度冷まして、さらに火を入れて味を含めます。
⑤お重やお皿に盛り付けて出来上がり。
今回は干し椎茸の出汁を使いました。煮物昆布などでも出汁が出ます。市販のだしのもとや白だしなどを使っても簡単に、美味しく煮しめができますよ♩
また、煮しめを作るときは、具材の下ごしらえを丁寧に行うのがポイント。具材の大きさを揃えると、見た目が美しく仕上がります。
余った煮しめは炊き込みご飯の具材にしたり、カレーに入れてアレンジしても美味しく食べられます。根菜類は冷凍すると食感が変わって美味しくないので、アレンジレシピで食べきるのが良いですね。
まとめ
おせちに煮しめが欠かせないの理由をご理解いただけたでしょうか?
山や海の幸、旬の食材を獲れた食材を集めて一つの鍋で煮ることから、一族が仲良く、末永く繁栄するようにという願いが込められているから。
令和はじめてのお正月は、おせちの他に煮しめを用意して、家族で囲んで、たくさんの具材の味をひとつひとつ噛みしめて、1年の家内安全祈願をしてくださいね!
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